全米仲裁協会

 

裁定

 

GAPRC HOLDING CORP. v. Tomihiko Yoshida

申立番号FA1807001795875

 

当事者

申立人は, 米国の  GAPRC HOLDING (“申立人”), 申立人代理人Fritz L. Schweitzer IIIある。被申立人は、日本のトミヒコ・ヨシダ(“被申立人”)である。

 

登録機関および訴訟の対象とされるドメイン名

紛争のドメイン名は、<purered.com>であり,株式会社日本レジストリサービス(JPRSに登録されている。

 

パネル

下記に署名のある当事者は、各人が個人的および公平的に、また各人の知り得る限り、本訴訟のパネリストとして従事するに当たり、既知の矛盾がないことを証明する。

 

パネリスト:Ho Hyun Nahm, Esq.

 

手続の経過

本件申立人は、申立書を2018年7月9日に全米仲裁協会に電子提出した。

2018年7月11株式会社日本レジストリサービス(JPRSは全米仲裁協会にメールにより <purered.com> ドメイン名が株式会社日本レジストリサービス(JPRSに登録され、被申立人がドメイン名の現在の登録者であるとうい旨を確認した。株式会社日本レジストリサービス(JPRSは、被申立人は株式会社日本レジストリサービス(JPRS登録契約によって制約され、それゆえ第三者によって開始されたドメイン名に関する紛争をICANN の統一ドメイン名紛争処理方針に基づき解決することに同意するものとする。

 

2018815、同協会は申立書、および申立書の書面による通知を含むすべての付属書類を送達したものとし、被申立人に対し、全ての関連企業、および被申立人の登録リストに技術、管理、経理担当者として記載される人物、およびpostmaster@ purered.comに対して、申立書に対する答弁書を電子メールにより201894までに送付するよう 指示したものとする。  また2018815には、答弁書送付先電子メールアドレスおよび答弁書の提出期日を記した申立書の書面の通知が、郵便およびファックスにより、被申立人の登録書に記載される全ての関連企業、および技術、管理、経理担当者として記載されている全ての人物に対して送達されたものとする。

 

本通知に対する答弁書は、2018830に受領された。 これは期限内に提出されたものだ。

 

単独パネルの裁定による紛争解決を求める申立人の要求により、全米仲裁協会は、Ho Hyun Nahm, Esq.をパネリストとして指名した。

 

これまでの経過記録を検討したうえで、紛争処理パネル(“パネル”)は全米仲裁協会が統一ドメイン名紛争処理方針第2(a)(“方針”)(発効日201031に準じて責任を果たしたものとみなし、規定に定義されるように、書面の通知を提出したことから「被申立人に対して通知を送達するために、あらゆる手段を講じた」としている。それゆえ、パネルは、提出書類、およびUDRP 方針、UDRP 規定、および全米仲裁協会の追補規定、およびパネルが妥当であるとみなすその他の法の原則に基づき、被申立人からの返答がないままその決断を下す可能性がある。

 

法的救済の要求

申立人は、ドメイン名を被申立人から申立人に移転するよう要求する。

 

当事者の主張

A. 申立人

i) 申立人は、ウェブサイト・サービス及び通信サービスを含めた様々なサービスに関連して(少なくとも 2005 年 6 月 1 日から)12年間以上,商業用にPURERED マークを使用している。さらに、申立人は、2012 年 8 月 20 日に出願及び 2015 年 2 月 3 日に登録した、米国登録番号4,680,458として、PURERED のマークに対する米国商標登録の所有者である。ドメイン名<purered.com>は、申立人が権利を有する商標又はサービスマークに一致する、又は混乱させるほど類似している。

 

ii) 被申立人は、ドメイン名<purered.com>に関して、権利も正当な権益も有するものではない。UDRP 規則 3(b)(ix)(2); UDRP 方針 ¶ 4(a)(ii)。被申立人は、申立人と関係がなく、ドメイン名を登録若しくは使用する,又はPURERED商標を使用することを申立人からの許可も得ていない。被申立人は、ドメイン名<purered.com>によっても、又はその中に組み込まれるいかなる用語によっても一般に知られておらず、それとして営業を行っていることもない。 申立人のサービスと競合するウェブサイト及び通信サービスを提供する、パークドメインの状態も競合ウェブサイトへのリンクのいずれも、UDRP ¶ 4(c)(i)に従った物品及びサービスの善意の提供とみなされるものでも、又はUDRP ¶ 4(c)(iii)に従った正当な非商業的若しくは公正な使用とみなされるものでもない。

 

iii) 被申立人は、申立人が最初の申立書を提出した後の、2018年 7月 11日に初めて<purered.com>の登録者として指定されたことが立証される。(付属書類 3 の 3~5 ページ)。被申立人(及び NTTPC コミュニケーションズ又はそのいずれか)が紛争中のドメインを取得したのは、申立人が 2005年にPUREREDのマークを商業用に使用したかなり後、申立人が 2012年 5月 17日に PURERED.NET ドメインを取得したかなり後、及び、申立人が 2012年 8月 20日にPURERED商標に対して米国商標登録番号4,680,458を得るために出願を行ったかなり後である。被申立人の使用は申立人のPURERED商標インターネットユーザーが混同する可能性を作り出すことにより、商業上の利益及び詐欺のために、インターネットユーザーを<purered.com>に意図的に引き寄せようとしているため、方針の第 4(b)(iv)項に従って悪意である。PUREREDのマークに対する申立人の権利の現実の認識及び擬制認識又はそのいずれかは、ドメイン名<purered.com>の悪意の登録及び使用の証拠である。被申立人はまた、悪意に紛争中のドメイン名を受動的に使用している。<purered.com>は、 パ ー ク ド メ イ ン の 状 態 に あ る ペ ー ジ である。<purered.com>のランディングページは、いかなるサービスも提供していないが、代わりに、NTTPCコミュニケーションズが運営する活発な商業ウェブサイトwww.nadukete.net にリンクするホーム画面である。

 

B. 被申立人

i) 被申立人は、1998年11月に<purered.com>を取得した(付属書類 1 の creation date 参照)。取得した理由:当時のメールアドレスは、契約するインターネットサービスプロバイダ(ISP)から提供されたものを使っており、ISP を変更すると、メールアドレスも変更される。被申立人は、メールアドレスを変更したくなかったため、ISP に依存せず、生涯使用できるメールアドレスを取得するために、ドメインを取得することとした。被申立人の好きな色が赤色で、red.com は既に取得済みであったことから、’純粋な’を意味する pure をつけて <purered.com> とした。

 

ii) 個人が簡単にドメインを取得・維持管理するために、ドメイン取得・維持管理サービス業者が多数あり、1998年当時、被申立人はアスキーストア・ドメインデスクを利用して、<purered.com>を取得し、同時に、アスキーストア・ドメインデスクが提供するメール転送サービスを利用し、yoshida@purered.comに届いたメールを、契約するISPから提供されたメールアドレスに転送させていた。契約するISPを変えても、転送先のメールアドレスの設定を変更すれば済むため、yoshida@purered.comを、生涯使用できるようになった。2002年に、アスキーストア・ドメインデスクの事業が、日本ベリサインのベリサインドメインサービスに移管されたため、そのまま日本ベリサインのサービスを利用した。付属資料 1 の 2001 年の WHOIS の Registrant には被申立人の名前がないし、当時の被申立人の住所が記載されている。それ以降は業者の名前だけとなっているが,被申立人は特に何もしていないし、2018年8月に,付属資料3のメールが ’名づけてねっと’から届き、WHOIS が訂正されたことを分かるようになった。

 

iii) 被申立人は、<purered.com>を、生涯変わらないメールアドレスのドメインとして使っているので、これまでwebサイトを構築したことがないし、興味もない。これまで約20年間、yoshida@purered.comを使っているし、これからも使い続ける。この権利を侵害されたくない。被申立人は、個人の、善意の利用者である。紛争中のドメインのドメイン履歴によると、申立人は、申立人が最初の申立書を提出した後の、2018年7月11日に初めて<purered.com>の登録者として指定されたことが立証される。’名づけてねっと’が WHOIS 情報を被申立人の名前に変更しただけだ。ドメイン履歴には、当該ドメインが、以前、NTTPC コミュニケーシ ョンズの名義で登録されており、NTTPC コミュニケーションズは、2014年 5月23日(登録者として第三者が表示されている最後の記録)と 2014年5月30日(登録者としてNTTPC コミュニケーションズが表示されている最初の記録)との間のどこかで当該ドメインを取得したことが示されている。

 

事実認定

1. 申立人は、PUREREDのマークに対する米国登録番号4,680,458として、米国商標登録の所有者である。

 

2. 紛争ドメイン名 <purered.com>の最初登録日が1998年11月3日である。

 

審議

本規定第 15条(a) 項では、パネルに「方針、規定、および適切とみなされるその他の方針および法の原則に従い提出される、声明および文書に基づき、申立てに対する裁定を下す」と指定している。

 

本方針の第 4条(a) 項では、申立人がドメイン名の使用取消、または移転の命令を獲得するには、以下の3つの条件を証明する必要があるとしている。

 

(1)   被申立人によって登録されたドメイン名は、申立人が権利を有する商標、またはサービスマークと同一である、または混同させるような類似性を有している。

(2)   被申立人は、そのドメイン名に対する権利、または正当な利益を持たない。

(3)   ドメイン名は、悪意で登録、または使用されている。

 

同一性、および/または混同させるような類似性

 

申立人は、2012年8月20日に出願及び 2015年 2月3日に登録した、米国登録番号4,680,458として、PUREREDのマークに対する米国商標登録の所有者であるという趣旨で主張している。本パネルは申立人の米国特許商標庁の PURERED 商標登録は, 申立人が PUREREDの商標に関する権利を持っていることを認めるに十分だと判断する。 参照:T-Mobile USA,  Inc. dba MetroPCS v. Ryan G Foo / PPA Media Services,  FA 1627542 (Forum Aug. 9,  2015) (申立人は米国特許商標庁への商標登録によりHARUの商標に対する権利を持っていることが認められる)

 

申立人ドメイン<purered.com>、申立人権利する商標又はサービスマークに一致する、又混乱させるほど類似しているという趣旨主張している

 

紛争ドメイン名の構成中 '.com'は一般的なトップレベルドメインに当たるため, 商標としての識別力がおらず, したがってこのような識別力がない部分を除外して見れば, 紛争ドメイン名は, 申立人の商標と同一だとパネルは判断する。 参照:Retail Royalty Company and AE Direct Co LLC v。 wang mo ran,  FA 1654301 (Forum Feb. 5,  2016) (“パネルは被申立人のドメインが政策¶4(a)(i)の規定に従って,申立人のAEO商標と同じだと認めている")

 

悪意による登録および使用

 

申立人申立人PUREREDする商標権、申立人200561日付商業用PUREREDのマークを最初使用2012820商標出願して201523米連邦特許商標庁登録された自分商標権する権利紛争ドメイン登録人による2018711日付のドメイン<purered.com>取得先行する(20145NTTPCコミュニケーションズによる取得先行する)という趣旨主張しているしかし、パネルは被申立人の紛争ドメイン名の最初登録日が1998年11月3日であると2001年のWhoisの記録によると紛争ドメイン名の登録人として被申立人の名前が明記されていることは、申立人と被申立人が提出したWhoisの記録情報 (申立人のExhibit 2及び被申立人の付属書類1)によって確認できる。

 

したがって、パネルは、申立人の商標権に関する権利が被申立人の紛争ドメイン名の登録日より優先するという申立人の主張は、その正当な根拠がなく、むしろ被申立人の紛争ドメイン名の登録が申立人の商標の初使用日、出願日、登録日その何より優先するということを確認する。

 

パネルは商標権の登録がその登録日とは関係なくUDRPの第1の要件にしたがって紛争解決を申請できる根拠となるあり得るとしても被申立人による紛争ドメイン名の登録が申立人の商標権に関する権利を先行する場合には被申立人が紛争ドメイン名を登録した当時は、申立人の商標の存在を知ることがなかったので悪意で被申立人が紛争ドメイン名を登録したと認められない。このようなパネルは判断はUDRPの一般的な先例に照らしてもそうだ。 参照: John Ode dba ODE and ODE - Optimum Digital Enterprises v. Intership Limited, D2001-0074 (WIPO, May 1, 2001) and Digital Vision, Ltd. v. Advanced Chemill Systems, D2001-0827 (WIPO Sep. 23, 2001). 参照: Platterz v. Andrew Melcher, FA 1729887 (Forum Jun. 19, 2017) (“Whatever the merits of Complainant’s arguments that Respondent is using the Domain Name in bad faith, those arguments are irrelevant, as a complainant must prove both bad faith registration and bad faith use in order to prevail.”); and Faster Faster, Inc. DBA Alta Motors v. Jeongho Yoon c/o AltaMart, FA 1708272 (Forum Feb. 6, 2017) (“Respondent registered the domain name more than a decade before Complainant introduced the ALTA MOTORS mark in commerce. Respondent therefore could not have entertained bad faith intentions respecting the mark because it could not have contemplated Complainant’s then non-existent rights in [the mark] at the moment the domain name was registered.”).

 

したがって、パネルは、被申立人が悪意で紛争のドメイン名を登録しなかったと判断し、申立人はUDRP ¶4(a)(iii)の要件を満たすことができなかったと結論を下している。

 

パネルは、申立人がUDRP ¶4(a)(iii)を満たしていないため、UDRPの他の要件の充足するかどうかに関する分析は不要であると判断する。 参照: Creative Curb v. Edgetec Int’l Pty. Ltd., FA 116765 (Forum Sept. 20, 2002) (finding that because the complainant must prove all three elements under the Policy, the complainant’s failure to prove one of the elements makes further inquiry into the remaining element unnecessary); see also Hugo Daniel Barbaca Bejinha v. Whois Guard Protected, FA 836538 (Forum Dec. 28, 2006) (deciding not to inquire into the respondent’s rights or legitimate interests or its registration and use in bad faith where the complainant could not satisfy the requirements of Policy ¶ 4(a)(i)).

 

裁定

UDRP 方針の下に3つの全ての条件が満たすことができなかったから、パネルは法的救済を棄却する。

 

それゆえ、«purered.com» ドメイン名を被申立人に引き続き所有されることを命じる

 

Ho Hyun Nahm, Esq.、パネリスト
201
897

 

 

 

 

Click Here to return to the main Domain Decisions Page.

Click Here to return to our Home Page