Retail Royalty Company, and AE Direct Co LLC v. kenichi sudo
申立番号:FA1506001624418
当事者
申立人は、Retail Royalty Company, and AE Direct Co LLC(「Complainant」), represented by Rebecca B. Gibbs of American Eagle Outfitters, Inc,
Pennsylvania, USA(「申立人」)である。被申立人は、kenichi sudo
(「Respondent」), Japan(「被申立人」)である。
登録機関および訴訟の対象とされるドメイン名
問題のドメイン名は、<americaneagle.red>であり、GMO Internet, Inc. d/b/a Onamae.comに登録されている。
パネル
下記に署名のある当事者は、各人が個人的および公平的に、また各人の知り得る限り、本訴訟のパネリストとして従事するに当たり、既知の矛盾がないことを証明する。
パネリスト:Ho Hyun Nahm, Esq.
手続の経過
本件申立人は、申立書を2015年6月15日付に全米仲裁協会に電子提出した。
2015年6月15日付に、GMO Internet, Inc. d/b/a Onamae.com は全米仲裁協会にメールにより<americaneagle.red>ドメイン名がGMO Internet, Inc. d/b/a
Onamae.comに登録され、被申立人がドメイン名の現在の登録者であるという旨を確認した。GMO Internet, Inc. d/b/a Onamae.comは、被申立人はGMO Internet, Inc. d/b/a Onamae.com登録契約によって制約され、それゆえ第三者によって開始されたドメイン名に関する紛争をICANN の統一ドメイン名紛争処理方針(以下、「処理方針」と称する。)に基づき解決することに同意するものとする。
2015年6月17日付に、同協会は申立書、および申立書の書面による通知を含むすべての付属書類を送達したものとし、被申立人に対し、全ての関連企業、および被申立人の登録リストに技術、管理、経理担当者として記載される人物、およびpostmaster@americaneagle.redに対して、申立書に対する答弁書を電子メールにより2015年6月17日までに送付するよう指示したものとする。また2015年6月17日には、答弁書送付先電子メールアドレスおよび答弁書の提出期日を記した申立書の書面の通知が、郵便およびファックスにより、被申立人の登録書に記載される全ての関連企業、および技術、管理、経理担当者として記載されている全ての人物に対して送達されたものとする。
本通知に対する答弁書は、2015年7月6日に受領された。この答弁書は期限内に提出されたものである。
単独パネルの裁定による紛争解決を求める申立人の要求により、全米仲裁協会は、2015年7月10日にHo Hyun Nahm, Esq.をパネリストとして指名した。
法的救済の要求
申立人は、ドメイン名を被申立人から申立人に移転するよう要求する。
当事者の主張
A.申立人
(i)紛争ドメイン名は、申立人が登録し、世界的に知名度が高い商標であるとともに、申立人の登録商標である「AMERICAN EAGLE」と混同を生じさせる程度に類似している。
申立人は15~25歳の人々を対象とするカジュアルで現代風な被服、装飾品、ベーシックス及び履物をデザインし、これらを、標章American Eagle Outfitt-ers及びAmerican Eagleの下で、自己のAmerican Eagle Outfitters小売店及び自己のウェブサイト<ae.com>において販売している。大々的な使用と広告宣伝の結果、American Eagle標章は、申立人が提供する高品質な商品の出所表示として公衆の間での高い認知度及び名声、識別力を獲得するに至っており、申立人のみが有する価値ある評判及び業務上の信用が化体したものとなっている。ドメイン名AMERICANEAGLE.REDは、AMERICAN EAGLE標章に係る申立人の連邦登録商標の一又は二以上と同一であり、申立人のAMERICAN EAGLE標章と混同を生じる程度に類似するものとみなされるべきである。
(ii)被申立人は、紛争ドメイン名の登録に対する権利または正当な利益を有していない。
被申立人がAMERICANEAGLE.REDウェブサイト上で、実際のAMERICAN EAGLE商品の販売を提供しているとしても、被申立人は、当該ドメイン名に関して権利又は正当な利益を有しておらず、商品又は役務の誠実な提供に関して当該ドメイン名を使用している、又は当該ドメイン名の正当な非商業的使用若しくはフェアユースを行っているとは言えない。
(iii)被申立人のドメイン名が不正な目的に登録され、使用されているという。
被申立人は、営業上の利益のために、且つ申立人のAMERICAN EAGLE標章に関連した信用及び評価の利益を享受するために、悪意で、ドメイン名を登録し、使用している。被申立人がウェブサイトにAMERICAN EAGLEの名称及び標章を目立つ態様で繰り返し表示する行為は、AMERICAN EAGLEブランドと提携又は支援等の関係を有するかのような印象を強めるものである。被申立人は、AMERICAN EAGLE社製品と思わしき製品を販売する目的で、申立人との提携を装うために本件ドメイン名を使用することにより、本件ドメイン名から利益を得ようとした。連絡先の隠匿と被申立人によるドメイン名及びAMERICANEAGLE.REDウェブサイトを通じた申立人の名前及び標章の商業的利益のための便乗的宣伝の組合せは、悪意の存在を示す更なる証拠である。
B.被申立人
紛争ドメイン名をこれから先使うつもりはない。紛争ドメイン名を申立人に明け渡しても構わない。紛争ドメイン名は2014年12月21日に登録された。
事実認定
第一、紛争ドメイン名は、申立人が登録し、世界的に知名度が高い商標であるとともに、申立人の登録商標である「AMERICAN EAGLE」と混同を生じさせる程度に類似している。
第二、被申立人は、紛争ドメイン名の登録に対する権利または正当な利益を有していない。
第三、被申立人のドメイン名が不正な目的に登録され、使用されているという。
審議
本規定第15条(a)項では、パネルに「方針、規定、および適切とみなされるその他の方針および法の原則に従い提出される、声明および文書に基づき、申立てに対する裁定を下す」と指定している。
本方針の第4条(a)項では、申立人がドメイン名の使用取消、または移転の命令を獲得するには、以下の3つの条件を証明する必要があるとしている。
(1)被申立人によって登録されたドメイン名は、申立人が権利を有する商標、またはサービスマークと同一である、または混同させるような類似性を有している。
(2)被申立人は、そのドメイン名に対する権利、または正当な利益を持たない。
(3)ドメイン名は、悪意で登録、または使用されている。
申立人は、「15~25歳の人々を対象とするカジュアルで現代風な被服、装飾品、ベーシックス及び履物をデザインし、これらを、標章American Eagle Out-fitters及びAmerican Eagleの下で、自己のAmerican Eagle Outfitters小売店及び自己のウェブサイト<ae.com>において販売している。」と主張している。また、申立人は「大々的な使用と広告宣伝の結果、American Eagle標章は、申立人が提供する高品質な商品の出所表示として公衆の間での高い認知度及び名声、識別力を獲得するに至っており、申立人のみが有する価値ある評判及び業務上の信用が化体したものとなっている。」と主張している。なお、申立人は、「ドメイン名AMERICANEAGLE.REDは、AMERICAN EAGLE標章に係る申立人の連邦登録商標の一又は二以上と同一である。」と主張している。
察するに、申立人は、被服、装飾品及び小売・オンラインサービスに関するAM-ERICAN EAGLE標章の米国商標登録を数多く所有している。その中でも、代表的なものとして、第35類のサービスを指定して、2010年6月1日付に登録された標章AMERICAN EAGLE(商標登録第3,797,646号)が挙げられる。このような申立人の米国商標登録は、紛争ドメイン名に対する申立人の標章AMERICAN EAGLEに関する申立人の権利を立証することに十分であると当パネルは判断する。
申立人は、「被申立人が登録したそのドメイン名は、申立人のAMERICAN EAGLE標章全体を取り入れていることから、申立人のAMERICAN EAGLE標章と混同を生じる程度に類似するものとみなされるべきである。」と主張している。
判断するに、本ドメイン名の構成において、「.red」はgTLDとして同様に商標としての識別力がない部分であると言える。このため、本ドメインが申立人の商標と混同を引き起こす程度に類似しているか否かを判断するときには、これらの識別力がない要素を除外しなければならないため、これら識別力がない要素を除外して察する場合、本ドメイン名は、申立人の商標と同一という点から本ドメイン名は、申立人の商標と混同を引き起こす程度に類似していると言える。したがって、当パネルは、申立人が処理方針¶4(a)(i)の要件を満たしていると判断する。
申立人は処理方針4(a)(ii)に従って、被申立人が紛争ドメイン名に関し、権利や正当な利益がないということを立証しなければならないが、そのような消極的事実は、申立人が完全に立証することは不可能なので、反証がなければそのまま認められる程度の立証をすれば十分であり(a prima facie case)、申立人が反証がなければそのまま認められる程度の立証をした場合、被申立人が紛争ドメイン名に関し、権利や正当な利益があることを立証する責任が被申立人に転換されるということである。参照:Hanna-Barbera Productions, Inc. v. Entertainment Commentaries, NAF Claim No. FA741828(処理方針¶4(a)(ii)に従って被申立人にドメイン名に関し、権利や正当な利益があることを立証する責任が転換される前に申立人は先にドメイン名に関して被申立人が権利や正当な利益がないことを反証がなければそのまま認められる程度の立証-a prima facie case-をしなければならない。)AOL LLC v. Gerberg, NAF Claim No. FA 780200(申立人は被申立人が紛争ドメイン名に関し、権利や正当な利益がないということを反証がなければそのまま認められる程度の立証-a prima facie case-をしなければならないが、その立証責任は軽いものだ。申立人がそのような程度の立証を満たせば、被申立人が紛争ドメイン名に関し、権利や正当な利益があることを立証する責任が被申立人に転換される)。
申立人は、「被申立人がAMERICANEAGLE.REDウェブサイト上で、実際の
AMERICAN EAGLE商品の販売を提供しているとしても、被申立人は、当該ドメイン名に関して権利又は正当な利益を有しておらず、商品又は役務の誠実な提供に関して当該ドメイン名を使用している、又は当該ドメイン名の正当な非商業的使用若しくはフェアユースを行っているとは言えない。」と主張している。
察するに、真正品を販売するウェブサイトとしても、申立人の商標と混同を引き起こす程度に同一または類似のドメイン名に該当する紛争ドメイン名で開設したウェブサイトは、インターネットユーザーをもって、申立人が開設したウェブサイトという信頼で最初の混同を引き起こして、当該ウェブサイトを訪問するようにする場合がよく発生することができると言わざるを得ない。ひいては、当該ウェブサイトで販売する商品が申立人の真正品であるとしても、申立人が真正品に対して保証するA/Sが保証されないか、あるいは繰越商品や欠陥がある商品などである可能性も排除することができないため、申立人の真正品とは差別があることができるという点で、被申立人が商品又は役務の誠実な提供に関して当該ドメイン名を使用している、又は当該ドメイン名の正当な非商業的使用若しくはフェアユースを行っているとは言えない。参照:General Electric Company, GE Osmonics Inc. v. Optima di Federico Papi, WIPO No. D2007-0645(場合によっては、例えば、「商標権者の真正品を販売(又は再販)することができるが、これは、必ずしも、商標権者の一又は複数の当該標章と実質的に同一なドメイン名を通じて、そのように販売(又は再販)することにまで権利を拡大することにはならない」)。「真正品を提供しているからといって、商標所有者の標章と同一又はほとんど同一のドメイン名を登録してよいということにはならず、ウェブサイトにおいて申立人との登録者関係を正確且つ顕著に開示していない場合は、特にそうである。」IKEA Systems B.V. v. Pr-ivacyProtect.org, WIPO No. D2011-0451。
被申立人は、自身が申立人との間に何らの関係があるか、申立人から商標または紛争ドメイン名の使用の許諾を受けた事実があるか、被申立人が本件紛争が生じる前から、申立人の「AMERICANEAGLE.RED」あるいはこれに類する名称を自身の商号や名称として使用するため準備をしていたことを裏付ける明白な根拠ないし証拠は一切提出しておらず、被申立人が、事前に「AMERICANEAGLE.RED」あるいはこれに類する名称で一般的に周知されていたという主張もしていない。
察するに、申立人の被申立人の真正品販売ウェブサイトに対する上記のような主張は被申立人に紛争ドメイン名に関し、権利や正当な利益がないことが反証がない限り認められるのに十分であると判断され、被申立人は、申立人の主張に関して何の回答も行っていないため、申立人は処理方針4(a)(ii)の要件事実を立証した。参照:De Agostini S.p.A. v. Marco Cialone, WIPO Case No. DTV2002-0005;Accor v. Eren Atesmen, WIPO Case No. D2009-07。
申立人は、「被申立人が、営業上の利益のために、且つ申立人のAMERICAN
EAGLE標章に関連した信用及び評価の利益を享受するために、悪意で、ドメイン名を登録し、使用している。」と主張している。また、申立人は、「被申立人の悪意によるドメイン名の登録及び使用を、当該ドメイン名が申立人のAMERICAN
EAGLE標章をそのまま完全に取り込んでいるという事実、及び当該ドメイン名が、申立人のAMERICAN EAGLE標章が周知になった後に長期間が経過してから取得されたという事実によって確証する。」と主張している。なお、申立人は、「被申立人の悪意による登録及び使用は、被申立人のAMERICAN EAGLE.REDのウェブサイトの内容から、被申立人が申立人のことを明確に知っていたという事実からも立証出来るし、被申立人が当該ドメイン名を登録した際に申立人の標章について予め知っていたということは、悪意の存在を示している。」と主張している。
察するに、申立人の商標が被申立人の紛争ドメイン名の登録ずっと以前から需要者間に広く知られていたこと、および被申立人が紛争ドメイン名で開設したウェブサイトで申立人の真正品と見なされる商品を販売していることから、被申立人は申立人の商標の存在を認知しており、紛争ドメイン名を登録したことを推定することができる。よって、当パネルは、被申立人が紛争ドメイン名を不正な目的に登録したと判断する。参照:PepsiCo, Inc. v. Zhavoronkov, WIPO D2002-0562(「世界的に知られている商標を盗用する行為は、それ自体で十分に悪意を構成する。」);Volvo Trademark Holding AB v. SC-RAD Inc., WIPO D2003-0601
(悪意の登録は、VOLVOPOLSKA.COMの登録によって示された。同登録においては、申立人の評判は、インターネットユーザーをドメイン名登録者のウェブサイトに商業的利益のために惹きつける可能性があるものであった。)
また、申立人は、「被申立人が、AMERICAN EAGLE社製品と思わしき製品を販売する目的で、申立人との提携を装うために本件ドメイン名を使用することにより、本件ドメイン名から利益を得ようとした。」と主張している。
察するに、申立人の主張は申立人が提出した証拠によって裏付され、その論拠も妥当であると認められるため、申立人の主張に同意する。参照: Hilton Group plc v. Forum LLC, WIPO No. D2005-0244(ドメイン名の使用によりユーザーを惹きつけて商業的利益を得たことは悪意の証拠である)。
なお、申立人は、「被申立人がウェブサイトにAMERICAN EAGLEの名称及び標章を目立つ態様で繰り返し表示する行為は、AMERICAN EAGLEブランドと提携又は支援等の関係を有するかのような印象を強めるものである。」と主張している。
察するに、このような申立人の主張は、申立人が提出した証拠によって裏付され、このような紛争ドメイン名で開設したウェブサイトの内容は、被申立人が紛争ドメイン名で開設したウェブサイトが申立人のもので誤認するようにするのに
(passing off)十分であると言えるため、当パネルは、被申立人が紛争ドメイン名を不正な目的に登録及び使用していると判断する。参照: David Foox v. Kung Fox and Bill Hicks, WIPO D2008-0472(「第三者が商標権者の名前や商標を自身のものとして使って特定のサイトにつながるようにすることがもたらす結果は何でしょう?避けられない結果としては、最初のきっかけの混同があります。インターネットユーザーは一定の割合で商標権者のサイト若しくは商標権者によって権限を与えられたサイトにつながることを期待してサイトを訪れるだろう。彼らがサイトにアクセスすると騙されたことに気付くかもしれないが、その時には彼らをそこにアクセスさせたいというドメイン名登録者の目的は既に達成されている」)。
さらには、申立人は、「被申立人の悪意による登録は、更に、被申立人が当該ドメイン名について自身の身元を明らかにせず、身元を隠すサービス
(「onamae.comによるWhoisプライバシー保護サービス」)を利用することにより、その住所や連絡先を隠すことを選んでいるという事実からも証明されるところ、そのような連絡先の隠匿と被申立人によるドメイン名及びAMERICANEAGLE.REDウェブサイトを通じた申立人の名前及び標章の商業的利益のための便乗的宣伝の組合せは、悪意の存在を示す更なる証拠である。」と主張している。
このような申立人の主張とその論拠は妥当であると認められ、先例によって支持される。参照:Societe Nationale de Radio France v. France Info, WIPO No. D2002-1052(被申立人の身元が明らかとならないような手段を講じていることは悪意を証明する)参照; Fifth Third Bancorp v. Secure Whois Informati-on Service, WIPO D2006-0696(実際の団体の名前等を開示することを防ぐための登録代行サービスの使用は、他のいいかげんな行動と相まって「悪意によるドメイン名の登録及び使用を推定させる」。)
よって、申立人は、処理方針¶4(a)(iii)の要件を満たしていると判断する。
裁定
UDRP 方針の下に3つの全ての条件が証明されたことから、パネルは法的救済を承認する。
それゆえ、<americaneagle.red> ドメイン名を被申立人から申立人に譲渡移転することを命じる。
Ho Hyun Nahm, Esq.パネリスト
日付: 2015年8月1日
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